IEC60204-1電気試験(アース導通試験・フォールトループインピーダンステスト・絶縁抵抗試験・耐電圧試験・残留電圧測定試験・漏洩電流測定・機能試験)解説と測定器紹介

あらすじ

みなさんこんにちは!こんばんわ!

IEC 60204-1 とは機械の安全性を確保するために必要な電気的な要求事項を定めた国際規格です。この規格に基づいて、機械の電気装置に対して18 項の検証いわゆる試験と呼ばれているテストを行う必要があります。しかし、このテストは専門的な知識や技術が必要で、やったことがない人にとっては難しいかもしれません。そこで、この記事では IEC 60204-1, 18 項 電気試験の内容と方法をやさしく解説します。以下が試験項目の一覧です。

  • 電気装置がその技術文書に一致していることを検証する
  • アース導通試験
  • フォールトループインピーダンステスト
  • 絶縁抵抗試験
  • 耐電圧試験
  • 残留電圧測定試験
  • 漏洩電流測定
  • 機能試験

IEC 60204-1 は、機械の電気装置の安全性に関する国際規格です。この規格は、感電や火災などの電気的危険源から人や財産を保護するための要求事項を定めています。また、制御装置の配置や配線、マーキング、技術文書など、機械の電気装置の設計や製造に関する一般的なガイドラインも提供しています。

しかし、残念ながら、この規格を理解していないか、無視しているか、悪用しているかのいずれかである自称認証団体や機械安全コンサルを名乗る業者が存在します。これらの業者に、過去に IEC 60204-1の 電気テストを依頼したところ、本来できるはずの内容を偉そうに否定したり、逆ギレしたり、テストは不要だと言ってお金だけ払わせたりしました。これはとんでもないインチキであり、やり方や考え方を知らない業者です。

そこで、この記事では、IEC 60204-1 の基本的な内容と重要性について説明し、インチキエセ業者に騙されないように注意喚起したいと思います。この記事は、機械の電気装置に関わる設計者、安全担当者、オペレーター、保全者などにとって有益な情報を提供することを目的としています。

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目次

IEC 60204-1, 18 項 電気試験とは

IEC 60204-1, 18 項の電気試験とは、機械の電気装置が安全かつ信頼性が高く、正しく動作することを最終的に確認するためのものです。試験項目は以下の通りで、規格に規定された方法と条件で行われます。EU に向けて出荷される機械は、EC 自己宣言のために、電気試験の結果を機械指令 2006/42/EC 附属書 VII の技術文書 TF (Technical File) にまとめる必要があります。また、北米に向けて出荷される機械は NFPA 79 に適合させる必要があり、電気試験は18 章 Testing and Verification で要求されています。

IEC 60204-1 も NFPA 79 の電気試験も内容は似ています。IEC 60204-1 で規定される電気試験は以下の表に示します。参考までに NFPA 79 の電気試験も併記しています。

電気試験 内容

この記事では、機械の電気装置の安全を規定する IEC 60204-1, 18 項の電気試験を紹介しています。ただし、わかりやすさのために、一部の用語を変えています。例えば、「保護ボンディング回路の導通性の検証」は「アース導通試験」、「電源自動遮断による保護のための条件の検証」は「フォールトループインピーダンステスト」と呼んでいます。

18 項では機械の製品規格があれば、その範囲で検証する。製品規格がなければ、a) からc) とh) は必ず検証する。d) からg) は任意で検証してもいいと言及されています。しかし、機械の安全性を確保するためには、省略する理由がなければ、すべての項目を検証したほうがよいとされています。検証結果は、文書化するようになっています。また、これらの試験を実施するときは下記の表の順序で行うことを推奨されています。

  • a) 電気装置がその技術文書に一致していることを検証する
  • b) アース導通試験
  • c) フォールトループインピーダンステスト
  • d) 絶縁抵抗試験
  • e) 耐電圧試験
  • f) 残留電圧測定
  • g) 漏洩電流測定
  • h) 機能試験

JIS ハンドブック 72 機械安全(2022) [ 日本規格協会 ]
リスクアセスメント担当者や機械・電気回路設計者・EHS担当者にとって重要な規格が網羅されていて必携です。

JIS ハンドブック 72 機械安全
JIS ハンドブック 72 機械安全

a) 電気装置がその技術文書に一致していることを検証する

IEC 60204-1 18.1 a) 電気装置がその技術文書に一致していることを検証するとは、機械の電気装置が技術文書と一致するかどうかを確かめます。これは、電気部品が IEC 60204-1, 4.2.1 項と9.4.1 項の要求を満たしているか、CDF (Constructional Data File) というファイルに書かれた内容と現物が同じかを検証します。CDF は機械指令の技術文書の一部とできます。

CDF についてはこちらの記事をご覧ください。

b) アース導通試験

IEC 60204-1 18.2.2 項 b) アース導通試験とは、機械の電気装置をアースするための回路がちゃんとつながっているかどうかを調べる試験です。この試験では、PE端子というアース用の端子と、回路のいろいろな場所との間に、どれくらいの抵抗があるかを測ります。測るときに使う電源は、24 V 以下で安全なもので、電流は0.2 A から10 A くらいに設定します。測った抵抗は、予想できる値の範囲内でないといけません。予想できる値は、保護導体や保護ボンディング導体の長さや太さや材質によって変わります。

アース導通試験をするときには、専用の測定器を使います。測定器で制御盤のPE 端子と、人が触れるかもしれない金属部分との間の抵抗を測ります。金属部分はエンクロージャーの扉や固定式ガードなどの部品ごとに測ります。

アース導通 測定

測定器 日置電機 3157

測定箇所 

測定箇所

測定箇所

日置電機 3157 シリーズは、電気機器の安全性を評価するために使う測定器です。この測定器は、電気機器の金属部分に電流を流して、その部分がしっかりアースされているかどうかを調べます。この測定器は、電圧降下値という数値で結果を表示しません。代わりに、10 V という基準値を使って、合格か不合格かを判断します。10 V よりも高い場合は不合格で、10 V 以下の場合は合格です。測定器の電流は10 A に設定しています。その場合、PE 端子と1.0 Ω 以下の抵抗値を持つ金属部分は保護導通性があると判定されます。

測定器は電気機器に電流を流す時間を5.0 秒にしています。この時間は自分で変えられます。測定器に流す電流の強さも自分で決められます。

アース導通試験イメージ

c) フォールトループインピーダンステスト

この記事ではフォールトループインピーダンステストはTN システムで、電源自動遮断機器によって保護される回路の検証を紹介します。

IEC 60204-1, 18.2.3 項 c) フォールトループインピーダンステストとは、簡単に言うと、機械の中で電気が漏れたりショートしたりしたときに、すぐに電源を切る装置がちゃんと働くかどうかを確かめるテストです。フォールトインピーダンステストは故障ループインピーダンスとも呼ばれ、短絡や地絡が起きたときに電流が流れるループの抵抗を測定することで、電源の自動遮断が正しく働くかどうかを確かめることを目的としています。

IEC 60204-1 では、電気装置がショートしたり火災を起こしたりしないように、過電流保護機器という装置が必要だとしています。過電流保護機器は、電気装置の中の電線や金属部分が接触して電流が流れすぎると、すぐに電源を切る役割をします。そのために、過電流保護機器の性能や回路の抵抗値が一定の基準を満たさなければなりません。その基準は、5 秒以内より早く電源を切るものでなければならなりません。この条件は、最終的に数式を用いて検証します。

ジュンイチロウ

機械の中で電気が漏れたら危ないですよね。だから、電気が漏れたらすぐに電源を切る装置がついています。
この装置がちゃんと動くかどうかを調べるのが、フォールトインピーダンス測定試験です

フォールトループインピーダンステストの対象

IEC 60364-1 ではTN システム(TN 系統)を説明しています。TN システムとは、電源において1 点を直接接地し、設備の露出導電性部分を保護導体 (PE) によってその点へ接続する手法です。

中性線(N, Neutral) と保護導体 (PE) の配線方法によって、次のように3 種類のTN 系統が考えられます。

接地システムの種類

  • TN-S システム: システムの全体にわたって個別の保護導体(PE) を使用するもの
  • TN-C システム: システムの全体にわたって中性線(N) と保護導体(PE) の機能を一つの導体で兼用するもの
  • TN-C-S システム: システムの一部分で、中性線(N) と保護導体(PE) の機能を一つの導体で兼用するもの

TN-S システム

システムの全体にわたって、個別のN とPE をもつもの

TN-S システム

システムの全体にわたって、個別の接地した線導体とPE をもつもの

TN-S システム

システムの全体にわたって、接地したPE をもち、かつ、N がないもの

TN-C システム

システムの全体にわたってN とPE の機能を一つの導体で兼用するもの

TN-C-S システム

システムの一部分でN とPE の機能を一つの導体で兼用するもの

TN-C-S システム

システムの一部分でN とPE の機能を一つの導体で兼用するもの

TN 接地システムにおける試験の適用

フォールトループインピーダンステストは機械の状態に応じて、テストの実施かテストの省略かが決められています。ただし、例外的に特定の条件を満たすことによって、フォールトループインピーダンステストを省略してもいいことが定められています。

スクロールできます
手順機械の状態現場での検証
A現場で作った機械の電気部分の保護導通試験をしていないものb) アース導通試験とc) フォールトループインピーダンステストを実施する
BTN システムでサーキットプロテクターなどの機器から、実際の負荷までの最大許容ケーブル長さ超えるPE をもち、保護導通試験を実施したものであって
・出荷時に分解せずに、完全組み立て状態で納入されたもの
・出荷時に分解したが、再組み立て後に保護導通が保証されているもの
c) フォールトループインピーダンステストを実施する
Cサーキットプロテクターなどの機器から、実際の負荷までの最大許容ケーブル長さ以内で、保護導通試験をしたものであって
・出荷時に分解せずに、完全組み立て状態で納入されたもの
・出荷時に分解したが、再組み立て後に保護導通が保証されているもの
c) フォールトループインピーダンステストは省略してもよい
TN 接地システムにおける試験方法の適用

過電流保護機器による電源自動遮断で保護が達成される条件

電気装置内で線路導体と保護導体やPE との間にインピーダンス0 に近い地絡が生じた場合、5 秒以内に自動的に電源回路が遮断されるよう、過電流保護機器の特性と回路インピーダンスを設定しなければなりません。

インピーダンスとは、交流回路において、ある部分を流れる電流に対してその部分に加わる電圧の比を表す物理量です。直流回路ではオームの法則により電圧降下 (V) は電気抵抗(Ω) を比例定数として電流(I) に比例しますが、交流回路ではコンデンサやコイルなどの容量やインダクタンスも考慮する必要があります。インピーダンス(Z) は、抵抗成分(R) とリアクタンス成分(X) から構成されます。抵抗成分は、直流回路でいうところの抵抗値で、リアクタンス成分は、コイル成分(XL) やコンデンサの容量(XC) やインダクタンス(L) によって決まります。

このとき、次の条件式が成り立つと、過電流保護機器による電源自動遮断で保護が達成される条件が達成されます。

$$ {Zs} \times {Ia} \leq {U0} $$

  • Zs: 電源、電源から地絡点までの充電導体、及び地絡点から電源までの保護導体からなる故障ループのインピーダンス値
  • Ia: 規定時間内に保護機器を自動的に動作(遮断)させる地絡電流
  • U0: PE に対する交流公称電圧

Ia の地絡電流値は、ブレーカーやサーキットプロテクターの製造者が公表している動作特定曲線を使用して決定されます。具体的には、5秒後の電流値(定格電流に対する倍率)が使用されます。

一般的に予測されるインピーダンス Zs(n) を求める際には、地絡電流による導体の温度上昇に伴う抵抗増加を考慮して、次の式を使用します。実際に測定器を使用して測定されたインピーダンス値を Zs(m) とします。

$$ {Zs(n)} \leq \frac{2}{3} \times \frac{U0}{Ia} $$

  • Zs(n): 動作特定曲線を使用して計算したZs の値
  • Zs(m): 実際に測定器を使用して測定した値
中の人

Zs(m) ≦ Zs(n) で正常です

フォールトループインピーダンス 測定

フォールトループインピーダンステストは、ブレーカーやサーキットプロテクターなど、地絡故障からの保護が必要な機器を対象に測定する試験です。

測定箇所

測定箇所

測定箇所

測定値 例 Zs(m)=0.23 Ω (m: 測定結果)

フォールトループインピーダンス測定器は共立電気社製 6516 を使用しています。地絡故障を測定器で模擬をするの測定は電源を入れて行います測定時には感電に注意してください。写真はイメージです。

共立電気 6516 は ATT (Anti Trip Technology) というフォールトループインピーダンステストを行う際に、漏電遮断器を電子的にバイパスする機能を搭載しています。これにより、テスト中に漏電遮断器を回路から外す必要がなくなります。このATT 機能をOFF にすると、工場側の遮断器が動作するかもしれないので注意してください。

フォールトループインピーダンス測定は、ブレーカーやサーキットプロテクターなど、地絡故障からの保護が必要な機器全てを対象に測定する試験です。たくさんあるからといって、省かずに測定することが大切です。

フォールトループインピーダンステストイメージ

PE とつながっている相は測定しません

フォールトループインピーダンス 検証

測定後は検証を行います。数式は下記を使います。

$$ {Zs(n)} \leq \frac{2}{3} \times \frac{U0}{Ia} $$

測定対象のサーキットプロテクターを仮に三菱電機社製のCP-30 定格値20(A) とします。5 秒経過時に定格電流 20 (A) に対する倍率は下記の図から400 % (4 倍)が導かれます。

予想される電源ラインとPE 間の電圧200 V がかかっている場合にZs(n) 値がは次の式から求めます。

$$ {Zs(n)} = \frac{2}{3} \times \frac{U0}{Ia} = $$

$$ \frac{2}{3} \times \frac{200}{20 \times {400}\%} = {1.67} $$

共立電気 6516 を使用して測定した電源ラインとPE 間のインピーダンス測定値は0.23Ω でした。この場合、地絡故障が起こっても、5 秒以内に予想される電流値以内でサーキットプロテクターが動作し、正しい定格値が採用され、正しい配線がされていることがわかります。

$$ {Zs(m): 0.23} \leq {Zs(n): 1.67} $$

d) 絶縁抵抗試験

IEC 60204-1, 18.3 項 d) 絶縁抵抗試験は、電気試験の一部分に過ぎませんが、適切に実施することで、人や財産を守ることができます。

絶縁抵抗試験を実施する場合は回路の相導体と保護ボンディング回路との間で直流500 V で測定された絶縁抵抗は1 MΩを下回ってはならないと規定されています。これは、電気的な危険源から人や機器を保護するための基準です。

絶縁抵抗試験は、電気装置の絶縁状態を確認するために行われる試験で、電圧を印加して絶縁抵抗値を測定します。絶縁抵抗値が低いと、漏電や感電の危険があります。絶縁抵抗試験は、電気装置の設置や修理後に必ず行う必要があります。

測定

測定値 37.7 MΩ, 500 V

測定器 共立電気社製 6516

絶縁抵抗測定器はフォールトループインピーダンステストで用いた共立電気社製 6516 を用いています。測定箇所はそれぞれのL1, L2, L3 とPE 間、または、L1, L2, L3 をまとめたL とPE 間を測定します。供給電源を完全に遮断し、機械の電気装置と電気的に分離して測定します。PE は遮断しません。

絶縁抵抗試験イメージ
ジュンイチロウ

マルチテスターは便利ですね!

e) 耐電圧試験

IEC 60204-1, 18 項 e)では、耐電圧試験が定められています。この試験は、機械の電気装置がPE(保護接地)に対して最低でも基礎絶縁(BI, Basic Insulation)があるかどうかを検証する意図があります。基礎絶縁がない場合、電気装置に採用されている部品の絶縁故障を起こしたら、機械の導電部を触ったオペレーターは関節接触による感電することになります。

関節接触による感電の解説は下記の記事をご覧ください。

測定

測定

測定器 例 1 秒, 電圧 1000V, 漏洩電流 1.0 mA

耐電圧試験を実施する場合は、公称周波数50 Hz または 60 Hz の試験電源を用いなければならず、最大試験電圧は、機器の定格供給電圧の2 倍、または、1000 V の大きい方としなければなりません。また、最大試験電圧を回路の相導体と保護ボンディング回路との間に1 秒間以上加えなければならず、破壊的な放電が起こらない場合は、要求事項を満足するとされています。

測定器に菊水電子工業社製 TOS5200 を使用しています。規格では1 秒以上とありますが、実際の負荷に応じてそれ以上の時間が必要になるかもしれません。また、漏洩電流値も負荷に応じて調整する必要があります。あまり大きくなると機器を壊しかねないので注意してください。

測定箇所は絶縁抵抗試験と同じです。L1, L2, L3 をまとめたL とPE 間を測定します。

耐電圧試験イメージ

f) 残留電圧測定

IEC 60204-1 18.4 項 f) 耐電圧試験とは、装置の安全性を確保するために残留電圧が60 Vを超える充電部品は、放電が速すぎることが装置の正常な機能に影響しない限り、5 秒以内に60 V以下になるように放電しなければならないことを定めています。

残留電圧とは、電源を切った後でも回路内に残っている電圧のことです。このような状態で、オペレーターがメインブレーカーをOFF にして電気エンクロージャーを開けた場合、オペレーターは電気のエネルギーが0と思ってしまいます。しかし、実際には回路内に残留する電圧があるため、オペレーターの指などがまだ電気のエネルギーがあるところに触れた場合、感電してしまうおそれがあります。

測定

測定

測定器 SANWA PC20

測定データー 5 秒以内に60 V 以内

測定器は三和電気計器社製 PC 20 デジタルマルチメーターとその測定データーを光ケーブル通信でパソコンに取り込んでCSV データーを出力するようにしています。

機械を運転中にメインブレーカーを遮断し、ブレーカーの二次側で相間の電圧、および、各相とPE 間の電圧を測定します。測定箇所は L1-L2, L2-L3, L3-L1 とL1-PE, L2-PE, L3-PE との計6箇所です。PE に接続されている相は0 V 近くの値になります。

残留電圧測定試験イメージ

g) 漏洩電流測定

g) 漏洩電流測定とはIEC 60204-1, 8.2.6 項の要求です。ここには電気装置のいずれかの保護導体で接地漏れ電流が10 mA を超える場合に、さらなる対策を求めています。この漏洩電流測定は合否のしきい値がありません。

測定

測定

測定器 SANWA DLC470BT

測定データー 最大27.6 mA

測定器は三和電気計器社製 DLC470BT クランプメーターを使用し、その測定データーを Bluetooth でパソコンやスマートフォンに出力するようにしています。

測定は機械を運転し(できたら実負荷で)電気エンクロージャーの外から入ってくる保護導体を測定します。

漏洩電流測定試験イメージ

h) 機能試験

IEC 60204-1, 18.6 項 h) 機能試験は、機械の電気装置の安全性を確保するために重要なテストです。この規格は、ISO 13849-1 SRP/CS の検証をするのにも参考になります。機能試験では、非常停止や保護インターロックが正しく機能するか確認します。また、SRP/CS が機能したときの停止時間もあわせて確認します。機能試験の結果は、技術文書に記録しておく必要があります 。

今後あたらしくなる FDIS/ISO 13849-1:2023 版では機能試験が詳しく規定されています。FDIS/ISO 13849-1:2021 はこちらの記事をご覧ください。

ISO 13849-1 は2023 年4 月に ISO 13849-1:2023 Fourth Edition として発行されました

ISO 13849-1:2023, 10.4.5 項 テスト方法
一般的なテスト方法は次のとおりである。
a) ハードウェア又はソフトウェアモデルのいずれか又は両方による、故障発生時の制御システム動作のシミュレー ション
b) ソフトウェアによる故障のシミュレーション
c) 機械の全オペレーションモードにおける安全機能の機能試験を行い、安全機能が規定された特性を満たしているかどうかを確認する。機能テストは、すべての安全関連出力がその完全な範囲にわたって実現され、仕様に従って安全関連入力信号に応答することを保証しなければならない。テストケースは、通常、仕様書から導かれるが、回路図又はソフトウェアの解析から導かれるケースも含むことができる
d) 拡張機能試験:電源の遮断や復旧、不正操作など、あらゆる入力ソースからの予見可能な異常信号や信号の組み合わせをチェックする
e) 実際の回路に対する故障注入試験及び実際の部品に対する故障開始試験、特に故障解析から得られた結果に疑義があるシステムの部分における故障模擬試験
f) 製造サンプルへの故障模擬試験
g) ハードウェアモデルへの故障模擬試験
h) サブシステムの故障試験(例: 電源)


この記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。IEC 60204-1 18 項の電気試験に関する情報が皆様のお役に立てれば幸いです。

使用する測定器は1 年以内の校正されたものをお使いください。

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